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牛久ニュース

つくば開成高等学校令和元年度卒業式 答辞【全文】

三年前この学校に入学して来たのは覇気のない俯いた一人の青年でした。

 

あの時と同じ匂いの春が、今年もやって来ました。

桜の甘い香りに添い、どこかで溢れる惜別の涙が運ばれて薫る春。毎年どこか懐かしさを感じます。

このあたたかな気候に包まれて今日という日に迎えるのは、私たちの旅立ちです。

 

三年前、親が見つけて来たこの学校に入学することを決めたのは、半腐れの青年の惰性でした。何の目標も持たない、趣味も夢もない。中学を卒業したら高校に入学すると言う定型文の通りにここにやって来ました。

しかし、入学という明らかな節目に、青年は自分を変えるチャンスを見出そうとしていました。

いえ、正しくは、なにか起こらないかな〜と、チャンスが来るのを待っていました。

 

しかしそれは来ませんでした。当たり前です、待っていただけですから。

 

青年は不貞腐れでした。

 

やっぱりこの学校でも自分の良さを発揮することが出来ないんだと、自分の居場所はここではないんだと、自分がなにも動いていないから環境は変わらないのに、それに気付かず自分を正当化して、不貞腐れる毎日でした。

 

高校一年生の冬、文化祭の準備が始まり出した頃でした。

大体毎日学校に来ていた青年は担任の先生に誘われ、文化祭実行委員の集まりに参加しました。

 

「テーマは何にするか」「どんな企画を出すのか」

誰一人友達のいない中すすむ議論に青年は怖気付いてしまいました。

自分のからに閉じ籠ってしまい自信なさげに発表した意見は、あっという間に他の意見に埋もれ、何の爪痕も残せないまま終ってしまいました。

 

青年には自分と他人との間をくっきり分ける線のようなものが見えました。

 

その出来事が青年に自分の未熟さを感じさせました。

青年の中にマグマのような思いが湧き上がりました。

「自分も、文化祭を作る一員になりたい。」そう強く思いました。

思い通りにいかないもどかしさを流し込んで型取って出来たエンジンに、悔しさ、反抗心という名のガソリンを流し入れ、青年は遂に動き出しました。

 

「私には絶対に面白いものを作る自信が有ります。」

担任の先生と保護者との三者面談で、そう宣言することから始まりました。

 

当時自分の携帯のアプリで、日々の思い出を編集する事にハマっていた青年は、コレだ、と思いました。自分が中心になって何かの映像を作って、それを文化祭の企画として発表しようと。

その考えを先生に打ち明けたところ、先生は「どうぞやってみてください」と快く発表する枠を設けてくれました。さらに、ほとんど仲間が居なかった青年のために、協力してくれそうな生徒を何人も紹介してくれました。

すると映像制作をきっかけに、今まで話したことがなかった人や、先生方とも関わりを持てるようになりました。

撮影に協力してもらう事で、意見を出し合ってぶつかり合い、うまく伝わらずもどかしい思いをした事も何度もありましたが、それは自分が本当にやりたいことを見つけた証拠でした。

今まで協力してくれた仲間と先生方のおかげで三年前にはまったく想像できなかった熱苦しくて、眩しい学校生活を送ることが出来ました。

これは青年にとっての飛躍的な進歩でした。自分がやりたいことをできる、後押ししてくれる環境があったおかげで、自分の進みたい道を見つけることが出来たのです。

 

青年は今年の四月から、映像制作の技術を学ぶために専門学校へ進学します。もう三年前とは違い、半腐れの惰性とは違い、自分の意志が、この道を選びました。

 

この青年だけではない、今日この学校を卒業する一七五名が、それぞれの道を見つけ、目指し、掴み、ここに立っています。

 

卒業の日は黙っていてやってくるものでは有りません。私たちは確実に、この日に向かって一歩一歩歩んできたのです。

 

皆さんに伝えたいです、私がこの学校で過ごすことで学んだ一番のことは、 ”自分の居場所は見つけるのではなく、築き上げていくものだ”ということです。待っていてやってくるのは、日が暮れて夜が明けるということだけです。その日その日に何をするか、何をしたかが、これからの人生を築いていくのです。

 

そして青年…改め私から、感謝の言葉をお伝えしたい方々がいます。

 

今日ここに立つまで、私を支えてくれた両親です。

もう一生こんなこと言わないと思って聴いてください。

心を病んでいる時から今まで、ずっとこんなにひねくれた面倒のかかる人間を、褒めて、笑って、認めて、肯定してきてくれてありがとう。二人以外には絶対にできっこない事です、そんな両親の優しさの中の強さが今の私を支えてくれています。

二人が与えてくれた私の人生を、これからも凜と歩んでいくことを誓います。

 

私は今まであらゆる締め切りをことごとく破ってきまして、そのうえ勉強は苦手ですし、早起きはもっと苦手ですし、、、決して模範となるような真面目で勤勉な生徒では有りませんでしたが、最後に代表して言わせていただきます。

私たちは これからの答えのわからない謎めいた世界へ飛び込み、道に迷ったとしても、自らの手で舵を取り、自らの居場所を築き上げてゆきます。

成し遂げたい目標への意欲を尽かすことなく、生気溢れる人生を送ります。

ですから、あたたかい目で、そして少しばかり大目に見ていただき、どうかこれからも私たちを見守ってください。

本日は、校長先生をはじめとする諸先生方、また保護者の皆様のご臨席を賜り、昨今の心休まらない状況が続く中、このような卒業式を挙行して頂き、私たちの門出を祝して頂けますことを、深く感謝しております。

 

余寒の残る澄んだ空気の中に、麗らかで淡い日差しが伸びる暖かい日。

咲き出した桜の花や木の葉がきらきらと輝く景色に卒業の幸せが重なり、一段と美しく目に映ります。

今日と言う佳き日に。

 

本日まで私たちに関わっていただいたすべての方々の幸せをお祈り申し上げ、ここにこれをお別れの言葉といたします。

令和二年三月十七日

卒業生代表

中根 凛歩(牛久本校所属)

 

 

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